大阪地方裁判所 昭和27年(ワ)288号 判決
以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。
(事實)
被告は原告宛に手形を振出したことを認めたが被告は公益法人で私立学校法の適用を受けるものであり、同法によれば約束手形を振出すには理事会の決議を要するところ、本件手形の振出については理事会の決議を経ておらず、原告はその事実を知らぬについて過失があるから、本件手形は被告に対して無効であると主張した。
(判断)
原告勝訴
判決は左のように被告の抗弁を排斥し原告の請求を認容した。
「私立学校法第三六条学校法人の業務は、寄附行為に別段の定がないときは、理事の過半数をもつて決すると規定しているが、同法第三七条第一項は理事はすべて学校法人を代表する、但し、寄附行為をもつてその代表権を制限することができると規定して居るし同法第四九条の規定に依り民法第五四条の規定を準用し、理事の代理権に加えた制限は之を以つて善意の第三者に対抗することができないこととなつている点を鑑みるときは、私立学校法第三六条は理事の事務執行に関する内部の関係を規定したもので、理事は学校法人の事務に付き学校法人を代表する権限を有するので、之に加えた代理権の制限は善意の第三者に対抗し得ないのである。そして証人中島秀一の証言に依ると、原告は被告に対し石鹸を販賣し当然支払を受けるものと信じてその代金の支払の為に本件約束手形二通の交付を受けたものであることを認め得るから、たとえ被告の代表者西岡実が右石鹸を買受け本件手形二通を振出すに付き理事会の決議を経て居らぬとしても、之を以つて原告に対抗することはできない。従つて被告の抗弁は理由がない。」